会社の情報をAIに入れていい?|置き換えて渡す手順

社外に出せない情報の扱い方。どこまでなら渡していいか、判断の順番を書きました。
この記事でわかること
- 規程を確認する
- 名前と数字を置き換える
- 迷ったら聞く
この記事の要点
| 見出し | ひとことで言うと |
|---|---|
| 結論:「入れていいか」ではなく「どこまでなら入れていいか」を決める | 全部ダメにすると、AIはただの暇つぶしの道具になります。 |
| なぜ不安になるのか(2つの心配が混ざっている) | 研修で話を聞くと、不安の中身は2つに分かれます。 |
| 入れてはいけない情報 5つ | 研修では、この5つを「入れない」と決めてもらっています。 |
| 入れていい情報 | 逆に、これは入れて問題ありません。 |
| 実際の使い方:「置き換えて渡す」 | 現場で一番使われているのが、この方法です。 |
| コピペで使える:置き換えを手伝ってもらう頼み方 | 自分で置き換えるのが面倒なときは、置き換え作業そのものを頼めます。 |
| 会社にルールがない場合はどうするか | 研修で聞くと、「特に決まっていない」という会社が半分以上です。 |
| 上司に確認したいときの言い方 | 聞き方が分からず、そのまま黙って使っている人が多いです。 |
| 今日やること(1つだけ) | 上の「私のAI利用ルール」3行を、メモアプリに貼ってください。 |
【保存版】会社の情報、AIに入れていい?|研修で一番多かった質問と、線の引き方
企業向けのAI研修で講師をしています。
業種はバラバラで、整骨院、介護、自動車、電気設備、店舗。パソコンが苦手な方も多い現場です。
その全部で、必ず同じ質問が出ます。
手を挙げて聞かれることもあれば、休憩時間に小さい声で聞かれることもあります。
一番多い質問です。そして、ほとんどの人が答えを持たないまま使っています。
この記事は、その場で私が答えている内容をまとめたものです。
01結論:「入れていいか」ではなく「どこまでなら入れていいか」を決める
全部ダメにすると、AIはただの暇つぶしの道具になります。
全部OKにすると、いつか事故が起きます。
決めるのは、この1行です。
説明できないものは入れない。それだけです。
02なぜ不安になるのか(2つの心配が混ざっている)
研修で話を聞くと、不安の中身は2つに分かれます。
① 入力した内容が、AIの学習に使われるのではないか
② 入力した内容が、どこかから漏れるのではないか
この2つは別の話です。
①は設定とサービスの種類で変わります。②は、そもそも入れなければ起きません。
①は「調べれば分かること」、②は「自分で決めること」です。
この記事では②を決めます。①は、お使いのサービスの設定画面と利用規約で確認してください。会社が契約しているサービスがあるなら、情報システムの担当者に聞くのが一番早いです。
03入れてはいけない情報 5つ
研修では、この5つを「入れない」と決めてもらっています。
① 個人が分かる情報
氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、顔写真。お客様のものも、同僚のものも同じです。
② 取引先の名前と、その取引の中身
「取引先との契約が」ではなく実名を書いた時点で、そこが特定されます。
③ まだ公表していない数字
売上、原価、来期の計画、人事。公表前のものは全部です。
④ 契約書・見積書・請求書そのもの
PDFをそのまま貼るのが一番危ないやり方です。中に取引先名も金額も入っています。
⑤ パスワード・IDなどの認証情報
これは説明が要らないと思います。ただ、実際に「ログイン画面のスクショを貼っていいか」と聞かれたことがあります。
04入れていい情報
逆に、これは入れて問題ありません。
- すでに公開されている情報(自社サイトに載っている内容、公開済みの資料)
- 自分が書いた文章(自分の下書き、自分のメモ)
- 固有名詞を消して、一般化した内容
- 一般的な知識を聞く質問(「議事録の書き方の型を教えて」など)
05実際の使い方:「置き換えて渡す」
現場で一番使われているのが、この方法です。
情報を消すのではなく、置き換えます。
- 会社名 → A社、B社
- 人の名前 → 担当者、Aさん
- 具体的な金額 → だいたいの桁(120万円 → 100万円台)
- 日付 → 来月、今期
これだけで、中身はほとんど変わらないのに、出しても困らない文章になります。
たとえば、こう変わります。
【そのまま入れる(やめたほうがいい)】
「〇〇商事の〇〇部長に、3月15日納品予定だった基板2,400個の遅延をお詫びするメールを書いて」
【置き換えて入れる】
「取引先の担当者に、部品の納品が予定より遅れることをお詫びするメールを書いて。相手は継続取引のある会社。遅延は1週間程度。代替案も添えたい」
出てくる文面の質は、ほとんど変わりません。
固有名詞は、出てきた文章に自分で入れれば済みます。
06コピペで使える:置き換えを手伝ってもらう頼み方
自分で置き換えるのが面倒なときは、置き換え作業そのものを頼めます。
ただし、これは「これから貼る文章を、外に出せる形に直す」ための頼み方です。
▼ ここからコピー
これから貼る文章を、社外の人に見せても問題ない形に書き直してください。
条件:
・会社名、人名、製品名は A社、担当者、製品X のように置き換える
・金額と数量は、だいたいの桁に丸める
・日付は「来月」「今期」のような表現にする
・文章の意味と、依頼したい内容は変えない
・置き換えた箇所を、最後に一覧で教えてください
文章:
【ここに貼る】
▲ ここまで
07会社にルールがない場合はどうするか
研修で聞くと、「特に決まっていない」という会社が半分以上です。
その場合、決まるまで待つ必要はありません。自分用のルールを3行だけ作ります。
▼ ここからコピー
私のAI利用ルール
① 個人名・取引先名・未公表の数字・契約書は入れない
② 入れるときは、置き換えてから入れる
③ 出てきた文章は、そのまま使わず必ず自分で確認する
▲ ここまで
メモアプリに貼っておくだけで十分です。
迷ったときに、この3行を見ます。
08上司に確認したいときの言い方
聞き方が分からず、そのまま黙って使っている人が多いです。
この形で聞くと、話が早く済みます。
▼ ここからコピー
業務効率化のためにAIの利用を考えています。
現在は、社名や個人名を伏せた一般的な内容のみを入力し、
出力内容は必ず自分で確認したうえで使用しています。
入力してよい情報の範囲について、社内の決まりがあれば教えていただけますか。
▲ ここまで
「この範囲で使っています、決まりはありますか」と聞くと、確認の話になります。
09研修でよく出た、関連する質問3つ
無料版と有料版で違いますか
同僚がもう使っています。大丈夫でしょうか
会議の録音を文字起こしさせたいのですが
10今日やること(1つだけ)
上の「私のAI利用ルール」3行を、メモアプリに貼ってください。
それだけで、迷う時間がなくなります。
※この記事は、講師として研修で受けた質問と、その場でお答えしている内容をまとめたものです。特定の企業の資料や、個別の案件の情報は含みません。実際の取り扱いは、勤務先の規程と情報システム部門の指示が最優先です。判断に迷う場合は、社内の担当部署に確認してください。

